人生足別離

田中ちはるのブログです。

賢い猫。


地元の本屋さんに、まだ週刊少年ジャンプを買いに行ってた頃。

その本屋さんは、昔からよく猫を飼っていました。
捨て猫や拾い猫を、飼ってもらえないかと、頼まれることもあったようです。
4匹か5匹は、いつもいたような気がします。

動物は賢いです。
お店のおばちゃんがよく言いました。「この人が、動物を好きか嫌いか、ちゃんと見抜いてる」と。
飼われて慣れているというのは大きいと思いますが、わたしは動物が好きなので、お店に入っても、猫に逃げられたことはほぼありません。
動物が好きでない人が入店すると、お店の奥に逃げるんだそう。

ただ1匹、全然なヤツがいました。
野生の鳥が、危険を察知するかのように、入店すると、シャッ!!っと逃げて行く猫。

まだ新顔で、この本屋さんでの生活に慣れてないからなのか?・・と思いきや、大変気の毒な猫でした。
ちゃんと全部の話を覚えてないのが残念なのですが、簡単に言うと、「引っ越し先で動物が飼えない」という理由で、置いていかれて捨てられたと。
わたしの記憶違いでなければ、そのような理由で2回、人に捨てられたことがあるようです。
それで、この本屋さんに引き取られたと。
なので、飼い主であるお店のおばちゃん以外の人には全く懐かない。

その話を聞いたあとやから、そう見えるのかもしれませんが、その猫は、とても厳しい顔つきでした。
如何にも、「誰も信じません」っていう顔。
ちゃんと、自分が「捨てられた」と、わかっている。
本当に、動物は賢い。

しかし、こちらも動物好きとして、ちょっとくらい仲良くできないかと、チャレンジしていました。
まぁ、声をかけるくらいでしたけど。

あるとき、いつもどおりに週刊少年ジャンプを買いに、本屋さんへ。
お店に入ると、店内にいた懐かない猫が、すぐさま店の奥へ向かって走り出す。
「待って待って!」・・と、声をかけると。
なんと、足を止めて、その場に座ったんです。
あの懐かない猫が。

残念。前のパソコンごと写真が無くなってしまいましたが、その、止まって座った時に、そ~っとしゃがんで、携帯のカメラで、一枚だけ写真を撮りました。
すんごい目を細めて、睨まれました。

結局、そ~っと立ち上がったら逃げられたんですが、そのほんのちょっとの時間、なんかいいかんじでした◎
この距離は縮まらないやろけど、おんなじ空間で過ごすことはできるんだなと。

わたしの動物好きを見抜いてくれたのか、声かけがよかったのか、ただ「待って」と言われたので、気まぐれに待ってみたのか。
目つきの鋭い猫を見かけると、いまでも懐かない猫を思い出します。